コラム&インタビュー
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柴原洋&片岡篤史が「王ダイエー」のリーグ初優勝を振り返る「20年以上経ったんだ」

2021/11/15(月)

柴原洋、片岡篤史
柴原洋、片岡篤史

1999年当時、福岡ダイエーホークスの選手だった柴原洋と、日本ハムファイターズに在籍していた片岡篤史が、スポーツライブ+で放送される「球人たちの記憶」に出演。同番組は、福岡ダイエーホークス主催試合の中からファンの印象に残っている試合をピックアップし、その試合の当事者たちが映像を見ながら振り返っていく。

2回目となる11月16日(水)の放送回では、王貞治監督がダイエーの監督に就任して5年目のシーズンとなった1999年9月25日の「ダイエー×日本ハム」戦に注目。優勝マジックが「1」となり、王手をかけた福岡ダイエーと日本ハムの熱き戦いを、当時スタメンで出場していた片岡と柴原のW解説を交えながら放送。

今回、番組収録を終えたばかりの片岡と柴原にインタビューを敢行。自身のプレーを解説するという企画に対する感想や当時のエピソード、2021年のペナントレースの感想などを語ってもらった。

―― 収録を終えた感想は?

片岡「なかなか面白かったです。昨日試合をやっていたような気がするくらい、20年以上も経ったんだという感じですね」

柴原「これまで自分の打ち方をまじまじと見ることはなかったので、すごく新鮮でした」

――ダイエーの優勝がかかった試合でしたが、日本ハムとしては目の前の胴上げを阻止したいところです。

片岡「もちろん、見たくないという気持ちはありました。でも、デーゲームで西武が負けて、ダイエーの優勝が決まるという雰囲気を感じていましたから。今回、改めて試合を振り返って、確かにそういう空気が流れていたなと思いました」

柴原「ずっとBクラスが続いていたので、本当に優勝できるんかなと、正直なところ選手はみんなそう思っていたような気がします。その中で、昼に西武が負けて『優勝マジック1』というすごいチャンスが回ってきて。この試合を勝ったら優勝なんだと、選手1人ひとりが思い始めました。あと1つ勝ったら優勝という経験がなかったので、秋山(幸二)さんや工藤(公康)さんという経験者がいてくれて、すごく安心感がありました。しかも、打順が1番だった秋山さんが初回にホームランを打って。あの一発で僕らも『今日は行ける!』って思いました」

――その後、一度は日本ハムが逆転しました。

片岡「ダイエーとはいつも打ち合いのゲームが多かったですから、あの試合も同じような感じでした。2点、3点のリードなんて全然安全圏じゃない。ワンチャンスで逆転されてしまうと思っていました」

柴原「実は日本ハムのほうが打撃成績は良かったんですよ。ダイエーはジョー(城島健司)が3割を打っていましたけど、チーム全体の数字は普通。ただ、各バッターがいいところで打っていたような記憶があります。サヨナラ勝ちもたくさんありましたから。投手力もズバ抜けて良かったわけではなかったので総合力で勝った印象です。選手たちの数字だけを見ると優勝できる成績ではなかったんです」

片岡「勝負どころで強かったんでしょうね。抑えるべきところで抑えて、点を取るべきところでしっかりと打っていた印象があります。それに、今振り返ってみると、ダイエーはいいメンバーが揃っていましたね。その後の強いダイエーを支えた選手たちが活躍しはじめた頃でしたから」

柴原「確かに、ここからという選手が多かったですね」

片岡「その若い勢いというのはありましたよね」

柴原「結果的に優勝しましたけど、シーズン初めの頃に22点取られて負けた試合があったんです。北九州市民球場で。そこからよく頑張ったなと思います。若さという勢いがあって、経験豊富な秋山さん、工藤さんがチーム全体を引っ張ってくれました」

当時の「王ダイエー」やお互いの印象について語った柴原洋と片岡篤史
当時の「王ダイエー」やお互いの印象について語った柴原洋と片岡篤史

――「王ダイエー」の印象は?

片岡「巨人という勝つことを義務付けられているようなチームからダイエーに来た最初の頃は、選手たちも文句を言っていましたよ。でも、王さんの考え方や勝利への執念みたいなものが選手たちに伝わって、どんどんチーム力が上がっていったという印象です。若手が伸びてきて、ベテランがしっかりと支える。そのバランスがとても良かったですね」

柴原「(王監督は)めちゃくちゃ厳しかったです。巨人時代から勝負に対する思いが強い方で、ずっと勝ってきましたから。ダイエーに来てからの4年間というのは、なかなか勝てず苦しかったと思います。その中で、優勝ができるという絶好のチャンスが回って来て。より選手たちに厳しく接するようになっていって、僕らもその思いに応えたかったですし、この人を何とかしないといけないという気持ちになりました」

――1999年は片岡さんが8年目、柴原さんが3年目の年。お互いにどんな印象を抱いていましたか?

片岡「あの年は、レギュラーになって1年目ぐらい?」

柴原「2年目ですね」

片岡「井口、松中と同じ年に即戦力で入ってきて、徐々に力をつけてレギュラーを獲った選手。大体、1番か2番を打っていて、簡単にはアウトにならないという選手でした。番組の中でも話しましたけど、サードを守っていて一番嫌でした(笑)」

柴原「片岡さんは広角に打てるバッター。同じ左バッターとして、逆方向への打ち方を参考にさせてもらっていました。僕は長打がなかったんですけど、少しでも良いところを取り入れてもっと打てるようになりたいと思っていましたね」

――11月20日(土)から日本シリーズが始まりますが、2021年のペナントレースを振り返って感じたことはありますか?

片岡「セリーグはヤクルト、パリーグはオリックス。前年最下位のチームが優勝するなんてすごいことですし、あんなにルーキーが活躍した1年もないんじゃないですかね。今年じゃなかったら新人王に輝いた選手がいっぱいいると思います。オリンピックイヤーでもあったし、見ていて面白かったです」

柴原「若手の勢いを感じました。特にオリックスはすごかったですね。投打が上手くかみ合うと、こんな爆発力があるんだなって驚かされました。番狂わせというわけではないのかもしれませんが、優勝の大本命だと言われていたソフトバンクが選手たちのケガなどで、なかなかベストメンバーで戦うことができなかった。だからこそ、優勝争いが面白くなったのかなと思っています」

――来季は、片岡さんが中日ドラゴンズの二軍監督に。ソフトバンクも工藤監督から藤本(博史)監督に代わり、各チームが動き始めています。

片岡「二軍は一軍と違って、目の前の結果だけではないので。一人でも多く一軍の戦力になってほしいし、厳しいプロの世界で生き残っていけるような技を持たせてあげたい。それぞれの選手に合った方法で教えていけたらいいなと思っています」

柴原「ソフトバンクは監督がかわりますし、世代交代の時期でもある。若手にもチャンスがありますけど、その環境に甘んじてはいけない。目の前のチャンスを自分から奪い取りに行くぐらいの勢いで臨んでもらいたいですし、しっかりと結果を残して行ってほしいですね」

――最後に番組の見どころをお願いします。

片岡「ランナーのスライディング、ピッチャーのインコースの攻め方など、野球のスタイルもそうですし、選手1人ひとりが醸し出す雰囲気も、今の洗練されたアスリートのような雰囲気とは違う。『こんな時代があったんだな』と懐かしい気持ちになって見てもらいたいですね」

柴原「1999年はホークスにとって転換期だったシーズン。当時の戦い方や選手たちのプレーを含め、ここから常勝軍団になっていったんだなと思いながら見てほしい試合です」

文=小池貴之

放送情報

球人たちの記憶#2 ~ダイエー×日本ハム(1999年9月25日開催)
放送日時:2021年11月16日(火)20:00~
チャンネル:スポーツライブ+
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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