コラム&インタビュー
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五十嵐亮太が宿舎でギターを弾いて怒らせたレジェンドは?元選手が語る「プロ野球キャンプあるある」

2024/2/27(火)

小久保裕紀新監督が就任し、ソフトバンクは4年ぶりのV奪還を旗印に新たなスタートを切った。ヤクルト、ソフトバンクOBでメジャーでも活躍した五十嵐亮太が、今回「スポーツライブ+」の解説でホークスのキャンプ地・宮崎市生目の杜運動公園を訪問。ソフトバンクに在籍した6年間は同地で汗を流した五十嵐亮太に、番記者としてホークスを長く取材する西スポWEB OTTO!の小畑大悟記者がインタビューしました。今回のテーマは「元選手が語るキャンプあるある」です。(全3回の2回目)※1回目はこちら

――現役時代は春季キャンプをどう捉えていたか

「ひと言で春季キャンプと言っても、立場によって違うんですよ。ベテランになってくると、開幕までにどう合わせていくのかと逆算していくのは比較的難しくない。打撃投手への登板や紅白戦などポイントに合わせて準備していけばいいんです。一方で若い選手は競争しないといけない。他の選手より秀でているところをアピールして結果を出しつつ、練習量をこなしていく必要もあります。若手とベテランではキャンプの内容も大きく変わってきますね」

――キャンプイン初日はプロ野球選手のお正月とも言われる

「若い選手は『いよいよキャンプが始まる』という気持ちだと思います。ベテランになっても気持ちが高ぶって初日は目がパチッと覚める選手もいるみたいですよ。僕も初日は目覚めが良かったです。日を追うごとにだんだん悪くなっていくんですけど。シーズンオフの間は意外とチームメートと顔を合わす機会が少ない。シーズンが終わったらあまり会わないので、キャンプインで顔を合わせ、いよいよ始まるという気持ちに間違いなくなりますよ。初日はベテランになっても体が必要以上に動いてしまう。自分のペースを崩さないようになるべく抑え気味にスタートするように意識しましたね。みんなと一緒に野球ができる。競争だけど、喜びもありました。みんなで今年もシーズンを頑張ろうというポジティブな気持ちでキャンプを迎えていましたね」

――ユニホームを着て練習をすると、普段以上に疲労感もあると聞く

「スパイクも履いて、必要以上に動けちゃうんですよ。シーズンオフの間は見られているという刺激もないので。緊張感や疲れも違います。キャンプの一日が終わったら自主トレとは違う達成感や充実感があります。みんなでやっているというのが大事なのかなと思いますね」

――加えて、大勢の観客の目やマスコミのカメラを向けられる

「若い選手がブルペンに入った時、横でビュンビュンと勢いのあるボールを投げられると自分がベテランでも焦るんですよ。競いたくなっちゃうけど、競わないようにとかね。自分のペースをいい意味で乱してくれる選手もいたので、それもいい刺激になりました」

――何年もプロ野球のキャンプを取材しているが、年々、キャンプ地が盛り上がっているように感じる

「今でこそお客さんが増えているけど、僕が若い頃はこんなことはなかったですね。『スポーツライブ+』のようなキャンプ中継なんておそらくやっていなかったからね。今はいろんなところで見られるし、カメラは何台も回っている。ホークスキャンプからの中継では、個人練習が終わってグラウンドに誰もいなくなるまでオンエアーしていた。見てくれている人も多いので、OBとしてはうれしい限りですよ。野球が注目されて、選手たちのモチベーションにもつながりますね」

アイビースタジアムのスタンドに立つ五十嵐亮太
アイビースタジアムのスタンドに立つ五十嵐亮太

撮影:西日本新聞社

――米球界でのキャンプ(スプリングトレーニング)も経験した。向こうの雰囲気や日本との違いは

「日本とはキャンプ地の面積が違いますね。いくつも球場があって、一つのフィールドごとに時間単位でメニューが分かれていました。一つの練習が終わったら次という感じで一つ一つのブロックが制限されている。移動して練習を繰り返しているうちに終わってしまいます。シンプルで無駄がない。ただ、自分がやりたいことをやるには練習前しかないんです。終わったら球場も閉まっちゃうので。自分の時間をつくるのはちょっと大変でしたね」

――日本のように練習時間も長くない

「短いんですけど、毎日やります。1カ月の期間で1日しか休みはなかったです。だから1日の練習時間は短い。日本のように強弱はつけにくいですね」

――日本は3勤1休、4勤1休など数日ごとに休日を設けることが主流。休日はどう過ごしていたか。ゴルフに出かける選手たちはよく目にしている

「僕は現役中、ゴルフはそんなにやらなかったのでのんびりしていましたね。前夜に外食して、いい感じにリラックスする。休みはゆっくり起きて、お風呂に入ったり、映画を見たりでした。若い時はアメリカのドラマにはまっていました。格好つけてキャンプ地にギターを持っていって、部屋で弾いて隣の人に怒られたこともありました。それが古田(敦也)さんだったので『やっちまったな』と思いました。食べることが好きだったから外食もよく行きましたね。休み前夜は楽しんだ記憶がありますよ」

――休日よりもその前日が楽しみだった

「そこが僕の中で休みに近い感覚でしたね。前の日が一番リラックスできました。みんなでお酒を飲みながらおいしいご飯を食べて。この時間は僕の中ですごく大切にしていました。休みになると次の日(の練習)が頭をよぎってくるんですよ」

――チームメートとの貴重なコミュニケーションの場になっていた

「若い頃は先輩に連れていってもらい、その時間はとても楽しかった。ベテランになると、今度は自分が誘ってね。野球も大事だけど、みんなで食べて、飲んで、リラックスできる時間があって、またみんなで頑張ろうよ、と。そういうメリハリが僕は好きだったし、大事にしていました」

インタビューに答える五十嵐亮太
インタビューに答える五十嵐亮太

撮影:西日本新聞社

――キャンプは1カ月程のホテル生活にもなる。必需品などもあった

「僕は音楽が好きなので、持ち運びできるスピーカーを持っていきましたね。音響メーカーの最新スピーカーが出るたびに買っていました。いい音で音楽を聞きながら部屋でお酒を飲むとかね。アメリカでは絵を描いたり、本を読んだりもしていました。それだけに夢中になれるので、脳がリラックスする。無駄なことを考えなくていい時間も嫌いじゃなかったですね」

――選手それぞれが思い思いにキャンプを過ごしている

「選手によってはいろいろ制限をする人もいましたけど、僕はアバウトに自分がやりたいようにやっていました。ただ、野球選手なので結果を出さないといけない。練習に差し支えがあってはいけません。その辺は守りつつ、たま~に守れない日もありつつ、キャンプは充実していましたよ」

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取材・文=西スポWEB OTTO!

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