辻発彦＆緒方孝市、名監督2人が語る「監督業におけるこだわり」

6月3日(土)に放送される「マサNOTE～名監督とプロ野球を語り尽くすSP～」(スポーツライブ＋)に辻発彦と緒方孝市が登場。番組では、監督経験者の2人と共に今シーズンの前半戦を、「新監督」「セ・リーグ総括」「パ・リーグ総括」などのテーマで振り返る。

今回、収録後の辻と緒方に収録の感想や監督時代の思い出、監督業におけるこだわり、埼玉西武ライオンズと広島東洋カープが後半戦を戦っていく上で必要なことなどについて語ってもらった。

――収録の感想は？

辻「番組出演は2回目でしたし、昌とは中日時代も一緒だったので、気負うことなく楽しくできました」

緒方「僕も2回目なんだけど、佐賀県の大先輩が隣におられるということで、本当に緊張してここまで来ましたし、一日中緊張しっぱなしでした(笑)」

辻「絶対、真面目に言ってないよ！(笑)」

――"名監督SP"と題されていましたが、お2人の監督時代の思い出を教えてください。

緒方「記憶に残っているのは"悔しさ"しかないです。3連覇したといっても、結局日本一になれていないので。シーズンの最後は負けて終わっているので、喜びよりも勝てなかったという悔しさが一番記憶に残っています」

辻「ライオンズがずっとBクラスで低迷している中で監督になって、1年目に2位、2年目、3年目で連覇できたっていうことは非常に嬉しかったです。そして、5年目で最下位になり、『ラスト1年だな』という気持ちで昨年やらせていただいて、Ａクラスになりはしましたが、自分の中で野球観が変わった1年でした。監督を務めた6年間は、本当に素晴らしい経験をさせていただいたということしかないです」

――監督業におけるこだわりや意識していたことは？

緒方「自分の中で、監督という仕事はチームを勝たせること。そして、選手を育てること。この2つが大きな仕事であると自分の中でしっかりと心に置いて、1年1年監督業に励んでいったという感じです。1年目はやはり『勝つ！勝つ！』と鼻息荒くやっていましたけど、1年目勝てなかった反省も踏まえて、2年目からは『チーム作りというのは監督として大きな仕事だな』と痛感し、"勝利"と"育成"の2つを強く思ってやっていました」

辻「監督の仕事はもちろん勝たせることだろうけれども、今緒方くんが言ったように、育成ということも考えて監督をやらなきゃいけない。『その年で優勝したからいいや』という考えでは絶対駄目。『自分が辞めた後でも、きちっと常に優勝争いできるチームであってほしい』という気持ちでやらないと。(自分が)最終年になったって選手は終わりじゃないんだから、その先も考えて選手を見てやらないといけないということですね」

――埼玉西武ライオンズが後半戦を戦う上で必要なことは？

辻「西武は苦しいね...。今『レギュラー誰ですか？』って言われても、源田(壮亮)、外崎(修汰)くらいで、後は出てこない。そういう意味で、いろんな選手を下から上げて使ったりしているんだけれども...。だから今は、ライオンズの土台を作るための重要な時間だと思っています。戦力的には少し苦しいかなと。ただ、昨年ぐらいから投手力は大分よくなってきたので、あとは守備であったりバッティング！野手がどれだけ伸びていくかですね。(守備とバッティングの)2つそろうようにしっかりやっていかないとですね」

――広島東洋カープが後半戦を戦う上で必要なことは？

緒方「勝つため必要なことはいくつもあるし、『こことここを改善したからチーム優勝できる』というような簡単なものじゃないから、難しい質問だね...。阪神タイガースと違って戦力的に厚みがないから、主力選手にけがやアクシデントがないようにすること。外国人がまだ機能していないので、機能すること。若い選手を使って経験を積ませること。そういった条件が優勝するには必要で、まだ足りないところがたくさんあるので、1つ2つに絞るというのは難しいです」

――最後に野球ファン、視聴者にメッセージをお願いします。

緒方「今年から球場での人数制限が撤廃された中で、たくさんのファンの方に球場に足を運んでもらいたいですね。これは選手にとっても非常に大きいことで、テレビで最後まで見てくれるファンの方も多いと思いますが、やっぱりスポーツは生で観て、応援して、選手に声援を送ってほしいです。ライブならではの緊張感など、球場でしか味わえないものがたくさんありますから！1試合でも多く球場に足を運んでもらって、選手を盛り上げて、野球界を盛り上げてほしいなと思います。そして、我々は発信する立場として、経験したことを踏まえて野球の面白さを伝えていければと思っています」

辻「チームの育成と同じで、ファンの皆さまにはこれからもファンでいてほしいと思うし、僕らが現役の時にライオンズのファンクラブに入っていた子供たちが大きくなって、お父さんやお母さんになって、自分たちの子供をまた球場に連れてくるっていう循環が続くように、そういうところにも目を向けて発信していかなければと思っています。それがユニホームを脱いだ人間ができることだと思います」

文＝原田健