2019年、日本代表のラガーマンは証明してみせた。
もう、日本はラグビーの強い国であることを。
もう、どの国に勝ってもジャイアントキリングとは言わせないことを。
今、我々ができることは、「感動をありがとう」
「勇気をありがとう」という労いの言葉をかけることではない。
この日本列島を包むラグビー熱を冷まさないことだ。
学校や会社で、ラガーマンの話をしよう。
週末に、ラガーマンの試合を見よう。
我々の熱が、きっと日本のラガーマンをもっと強くする。
さぁ、未来のサクラの戦士を追いかけよう。
幼少期、父の影響で楕円球に出会う。
その後、花園を目指し、国立を目指して、ひたむきに楕円球を追い続けた。
増え続けるラグビーに対する情熱と知識とは裏腹に、
彼がそれらの舞台に立つことはなく、また選手としてスポットライトを
浴びることも無かった。
ラグビーへの溢れんばかりの愛を胸にそっとしまい、
社会の一員として生活していた2015年9月19日。
深夜の町中華でひとり遅い夕食をとりながら、店のテレビでそのニュースを知る。
ギャンブルと言いながらスクラムを選択し、誰ひとりミスすることなく逆転トライを決め
抱き合う選手たちを見たとき、彼の瞳から熱いものが溢れて来た。
嗚咽を抑えるため、人目を憚らず口いっぱいに肉まんを頬張ったとき、
電撃に打たれたかのように、本当の意味のラグビー精神を知った。
試合に出ることだけがラグビーじゃない。
ベンチに入ることだけがラグビーじゃない。
ラグビーに対する情熱がある限り、自分にできるラグビーがある。
自分を育ててくれたラグビーを、ひとりでも多くの人に知ってほしい。
日本ラグビーがもっともっと強くなってほしい。
ラグビーが好きだ。ラグビーが大好きなんだ。
彼が店を出るとき、
彼の頭は、決して冷めることの無かったラグビー愛でパンパンになっていた。